<パッチワーク・キルト>

パッチワーク・キルトとは、大小のサイズ・柄違い・色違いのいくつもの布を接いで、大きな布にしたものを表布にしてキルト芯・裏布と三層に重ね、その三層をチクチクと縫い合わせていくことです。

今では素敵なデザイン性のあるパッチワーク・キルトが生み出され、インテリアや小物・バッグ・洋服などに用いられ、いろいろなシーンで見かけますよね。

そして、エコやサステナビリティの考え方からも、新しく買い替える前に、今あるものを利用して自分で作ってみるといった意識が高まり、手芸の良さ・楽しさが広がりつつあります。

また、これは強く期待したいのですが、認知症予防にもなるのでは・・・と言われています。

色合いを考える、細かく縫うというパッチワーク・キルトは、脳の活性化につながるといいます。手芸が好きな仲間とお話ししながらチクチクするのは、なおのこと脳の活性化になりますね!!

ただし、一つだけ心配なのは・・・運動不足になることです。なので脳に良いからとやりすぎには気を付けましょう。

さて、話が脱線しましたが、ここでは、パッチワーク・キルトのお話や作品を載せていきたいと思います。

では、まず興味深い『キルトの歴史』です。

[キルトの歴史・・・の話]

キルトがいつ頃から作られ始めたのかは、はっきりわかっていません。最初は何かを覆うものであったといわれています。

調べてみるとトップ布とバック布の間に綿を挟んで三層にした布・キルトはずいぶん昔から作られ、防寒具として、また、ベットカバーや衣服などに利用されていたようです。

モンゴルで発見された紀元前100年~紀元後200年の遊牧騎士民族の布は、アップリケと手の込んだキルトステッチが施されているそうです。

中世のヨーロッパでは、キルティングは騎士の金属製の鎧の下着として使われていたり、伝統的な布として、ベッドカバーもあったそうです。

しかし、現在まで残っている初期の頃の「パッチワークキルト」はありません。

「パッチワークキルト」というとアメリカンキルトを思い浮かべる方も多いのではないかと思います。確かにキルトは昔からアメリカ人の生活の中で大切な役割を果たし、また、いろいろな形で表現されていますよね。

でも、現在まで残されている一番古いパッチワークキルトは18世紀の初め頃にイギリスで作られたもののようです。

これはアメリカのキルトより古いと考えられます。

イギリスでは、ホールクロス(1枚布)キルトが国産や輸入された布で作られていました。

そして、16世紀~17世紀頃になって、インドから色落ちしないコットン布 が入ってきました。

当時のヨーロッパの人々が使っていた布は、リネン、ウール、シルクですが、コットンの様に洗濯が出来なかったので、綺麗に使うのは難しかったそうです。

洗濯ができて、美しい色と柄のコットン布はとても注目されたのです。とはいってもその頃は裕福な人々の生活に利用されていました。

中でも女性たちは、刺繍や裁縫の技法を習って、広い家にテキスタイルやキルト作品を飾っていました。

インドから輸入される中には、コットン布だけでなく木綿更紗のベッドカバーや同じようなデザインでわたの入ったキルトもあったようです。それはインドの人々が何世紀もの間、国内向けや輸出用に作っていたものだそうです。

このようにして、イギリスに入ってきた布は初期のアメリカにも伝えられました。

インドの布が、イギリスとアメリカのキルト作りに影響を与えたのは確実ですね!

次は、イギリスからアメリカに伝わったキルトがどのようにしてアメリカンキルトになったのか・・のお話です。

[アメリカンキルトの誕生]

開拓時代のアメリカ・・・アメリカンキルトはどのようにして誕生したのでしょうか

イギリスから伝えられたキルトは18世紀頃、裕福な家族の間で始められました。

初期の頃は、イギリスの影響を受けヨーロッパスタイルのピースワークやアップリケのキルト、その2つを合わせたキルトなどが作られていました。

18世紀後半になって、アメリカ独特のキルトが庶民によって沢山作られるようになったのです。

何故か?って

第一に、ヨーロッパで使われていた布がなかなか手に入らなかったため。
第二に、生活環境の違いです。

ヨーロッパの住居にある様な大きな部屋がなかったのと、アメリカの開拓者たちは移動生活をしていたからです。

ヨーロッパの住居
アメリカの移動生活

その生活に合ったキルト作りをする様になったのです。

まず、間に合わせの布でシンプルなキルトを作るようになりました。

また一方では、移動生活のため狭いスペースでピース布を縫い合わせ小さな正方形のブロックを複数作り、最後に全部つないでトップに仕上げるブロックスタイルが、アメリカンキルトの主流となりました。

キルトは実用と装飾をかねているので、トップ布には伝統的な数種類の技法が施されています。

イギリスではこのブロックを取り入れたスタイルがある程度まで発展してそのまま残されました。

一方アメリカでは、

このブロックスタイルが異なったパターンでも使われるようになり、19世紀にはブロックスタイルがアメリカンキルトの主流になりました。

そして、現在のキルトのスタイルに発展していったのです。

キルトは三つのスタイルが基本になってます。

パッチワークのキルト
カットした直線のピース布を幾何学模様につないで出来たトップ布で作られたキルト。

アップリケのキルト
いろいろな形にカットした布を、1枚の土台布に載せて縫い付けたトップ布で作られたキルト。
アップリケのデザインには具象的なものが多く、曲線のある花がよく使われています。

このアップリケキルトは、布が貴重だった時代(キルト初期のころ)に、ぜいたくに布を使って作られていたため、ピースワークのキルトよりも、「高級」なものと考えられていました。

プレーンなキルト
トップに1枚布が使われ、装飾的なキルトステッチで3枚の布を押えたキルトです。

次は、パッチワークをされている方ならばどなたも悩む あの事 についてお話ししたいと思います。

[パッチワークは色と柄合わせが難しい]

考えすぎると迷って進まない色柄合わせ、布選び!

パッチワーク作品を作る時、色と柄をどのように合わせていくか・・・という事に尽きると思います。

それがパッチワークの一番の難しさであり面白さでもあるのですが・・・

芸術やファッションなどでよくセンスがいい・悪い といいますがこのセンスというものは、色柄合わせも当然含まれているのでしょう。

色彩感覚というのは、子供の頃にどれだけ自然に触れていたかで、その感覚が磨かれるらしいようです。

でも、同じ地域に住んでいる子供はみんな同じような色彩感覚を持つのでしょうか?

「それなことはないな・・・」と思ってしまいます。

やはり個々の感受性も大きく関わっているのではないでしょうか。

なので、私は自分の色彩感覚が鈍い事は悲観しないで、パッチワークの色・柄を合わせる時は自分で考えた順序に従って選びます。

そこで、パッチワークの布選びに迷った時の判断の順序を提案します。

まず、最優先するのは「その時の気分」です。

気分がのっている時は、私の場合、黄色、赤、オレンジ系の布ですね(笑)

のらない時は、やはりそれらの色以外の布になります。

そのあとはもう決めた順序に従って決めていきます。

まず、一番配色しやすいのは同系色の濃淡です。

次は、反対色で、お互いに引き立て合う配色になります。

(参考)三原色の場合 相対する反対色は・・・赤⇔緑 黄⇔紫 青⇔橙

12色相環

どちらにするか決めてから、布を選んでいきます。

地模様や小さい飛び柄の布は無地に近いため使い勝手がいいですよ!


また、プリント柄の大きさも、小紋・中柄・大柄とそれぞれ選べればベストです。

私は以前、黄・橙の花柄の布で、ストリングポーチを作ったことがありました。


小紋と小柄の布を4,5枚使って、さぞや素敵になるだろうな~と思ったのですが・・・結果は、面白みのない単調なポーチになってしまいました。やはり、布の花柄を大、中、小とピックアップした方が変化があっていいんだなぁ~と思いました。

次に選んだ布たちを並べて、明度・彩度をみます。

明度とは、明るさのこと。白黒でコピーするとわかりやすいです。

彩度とは、鮮やかさのこと。彩度が低くなるとグレーを混ぜたように濁って見えます。

初心者の方は、最初は明度の方が意識しやすいと思いますので明度に差をつけて配色すると、パターンの形がはっきりします。

少しずつ慣れてきたら、彩度にも意識を向けてみましょう。彩度を揃えて配色するとまとまりが出ますよ!

やはり、実際に作品を見て感じて、経験を積まないと色彩感覚は磨かれないと思います。

全国各地でパッチワークキルト展や針仕事展が開かれていますので、見に行かれるのもいいですね!

次は、取り組みやすいけど奥が深い「ログキャビン」というパターンをご紹介します。

[不思議な魅力!ログキャビン]

「パッチワークといえばログキャビン!」

といわれるほど、キルターには親しまれ作られているパターンです。

アメリカの開拓時代の一般的な家、ログ(丸太)を積み上げたログハウスのイメージから名付けられたパターンの一つです。

中心の正方形は一家団欒の象徴である 暖炉 を表現しています。


欧米で暖炉が一家団欒の象徴ならば、日本では囲炉裏か掘りごたつといった所でしょうか。

なので、キルトのアンティーク作品には赤を使った作品が多く見られます。また、明暗の対比、ブロックのセッティング、配色によるバリーエーションが豊富でさまざまなデザインが生まれるのも、ログキャビンの魅力です。

ログキャビンの基本はとてもシンプルです。

中心に正方形(暖炉の火を表すため、赤やオレンジ色を配色します)をおいて、そのまわりに細長い布(以後「ストリング」という)を縫い付けていきます。2辺ずつ明暗に分けて配色していきます。

決めた正方形(ブロック)の大きさになったら、1つのパターンの出来上がりです。

これをキルトの出来上がり寸法に必要な枚数分作ります。そしてパターンを全部つなげると、ログキャビンのトップ布の出来上がりとなります。

パターンの形を変形させたり、ストリングの幅を変えたり、配色やセッティングをいろいろ試すと、無限と言っていいほど生まれるデザインの面白さ、視覚的効果を発見できるでしょう!

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